うな重のテイクアウト需要が高まる中、多くの飲食店様が直面するのが「持ち帰り時の品質維持」という課題です。焼きたての鰻と熱々のご飯を詰めるうな重は、容器内に充満する蒸気によってご飯がべちゃついたり、蒲焼の食感が損なわれたりしやすいメニューといえます。また、高単価な商品だからこそ、容器の見た目や高級感も顧客満足度を左右する重要な要素です。うな重の美味しさを損なわないためのテイクアウト容器の選び方を、素材ごとの特徴や機能性の観点から解説します。
うな重のテイクアウト容器選びで失敗しないためのポイント
うな重は飲食店におけるテイクアウトメニューの中でも特に単価が高く、お客様からの期待値も大きい商品です。
お店で食べる焼きたての味をそのままご家庭でも楽しんでいただくためには、食材の質や調理技術だけでなく、持ち帰りに適した高機能な容器を選ぶことが欠かせません。
容器選びを間違えてしまうと、せっかくの美味しい料理が台無しになり、リピーターを逃す原因にもなってしまいます。
ここでは、うな重の品質を維持し、お客様に満足していただくために押さえておくべき3つの重要なポイントを解説します。
焼きたての蒸気を逃がしてご飯のべちゃつきを防ぐ
うな重の美味しさを左右する最大の敵は、焼きたてのうなぎと熱々のご飯から出る「蒸気」です。
一般的な密閉容器に熱いまま蓋をしてしまうと、内部に充満した蒸気が逃げ場を失い、冷える過程で結露して水滴となります。この水滴が食材に落ちると、うなぎの蒲焼特有の香ばしい皮目の食感が失われ、ご飯が水分を含んでべちゃべちゃになってしまうのです。
特にうな重は、タレの染みたご飯の粒立ちが良いことも美味しさの条件です。そのため、容器を選ぶ際は適度な通気性があるかどうかが重要になります。完全に密閉するのではなく、蒸気を外へ逃がすための通気口（ベンチレーション）が設計されている容器や、吸水性のある素材を選ぶことで、時間が経ってもふっくらとした美味しさを保つことができます。
タレの漏れや容器の破損を防ぐ耐久性と密閉性
テイクアウトにおけるトラブルで最も多いのが「汁漏れ」です。うなぎのタレは粘度があるとはいえ、持ち運び時の振動や傾きによって容器の隙間から漏れ出す可能性があります。タレが漏れてしまうと、手提げ袋やお客様の衣服を汚してしまうだけでなく、うな重自体の味も薄くなってしまいます。こうした事態を防ぐためには、蓋と本体がカチッとしっかり噛み合う「嵌合（かんごう）性」の高い容器を選ぶ必要があります。
また、うな重はある程度の重量があるため、容器自体の耐久性も無視できません。薄すぎるプラスチック容器や強度の低い紙容器では、持ち上げた際に底がたわんだり、重ねた際に潰れてしまったりする恐れがあります。お客様が安心して持ち帰れるよう、タレ漏れに強く、形状が安定している容器を選定しましょう。
自宅での温め直しを想定した電子レンジ対応
テイクアウトを利用するお客様は、購入してすぐに食べるとは限りません。帰宅してから時間が経った後に召し上がるケースも多くあります。冷めてしまったうな重を美味しく食べるためには温め直しが必要ですが、このとき容器ごと電子レンジで加熱できるかどうかが、お客様の満足度を大きく左右します。
耐熱温度の高いポリプロピレン（PP）素材や、レンジ対応の紙容器などを採用すれば、蓋を外す（あるいは少しずらす）だけで手軽に熱々のうな重を再現できます。高級感だけでなく、こうした「食べる際の手軽さ」を意識することも、選ばれるお店になるための大切な要素です。
電子レンジがない環境でもうな重を温めることができる”加熱式容器”。
紐を引くだけで、蒸気でお弁当を温められる容器『蒸熱BOX』シリーズ。
これまでBESTPACKではkit1の商品のみを取り扱っておりましたが、このたび冷蔵対応しているkit2、冷凍対応もできるkit3やリーズナブルに加熱式弁当容器を始められるセルフSタイプの取り扱いも開始いたしました。
素材別に見るうな重テイクアウト容器の特徴とメリット
うな重のテイクアウト容器を選ぶ際は、お店の提供価格帯やブランドイメージ、そしてお客様がどのようなシチュエーションで召し上がるかを想像して選定することが大切です。
うな重は他の弁当メニューと比較して単価が高いため、容器の見た目や機能性が顧客満足度を大きく左右する重要な要素となります。
高級感を演出しブランド力を高める紙製や木製の折箱
老舗のうなぎ専門店や、ハレの日の食事として利用される高価格帯のうな重には、紙製や木製の折箱が最適です。これらの素材は、手に取った時の質感や香りが良く、お店で食べる時と同じような特別感や高級感を演出できる点が最大の魅力です。
機能面でも、木や紙には適度な吸湿性と通気性があります。焼きたての鰻と温かいご飯を詰めた際に発生する蒸気を容器自体が吸収・発散してくれるため、時間が経ってもご飯がべちゃつかず、ふっくらとした食感を保つことができます。ファルカタ材などの天然木を使用した容器や、厚手の紙に木目柄をプリントした高級紙折箱などが流通しており、これらを採用することで競合店との差別化を図れるでしょう。
保温性が高く持ち帰り時間が長くても安心な発泡素材
発泡スチロールなどの発泡素材を使用した容器は、素材の中に多くの空気を含んでいるため断熱性に優れています。冬場のテイクアウトや、持ち帰りから喫食までの時間が長くなるケースでも、うな重の温かさを長時間キープできるのが大きなメリットです。
容器自体が非常に軽量であるため、複数個をまとめて持ち帰る際のお客様の負担を減らすことができます。また、他の素材に比べて単価が安く抑えられる傾向にあり、容器代（資材コスト）の削減にもつながります。
うな重の美味しさをキープする具体的な蒸気対策
うな重のテイクアウトにおいて、顧客満足度を大きく左右するのが「ご飯の炊き加減」と「鰻のふっくら感」です。しかし、熱々の状態で容器に蓋をすると、内部に蒸気が充満し、結露が発生します。この水分がご飯に戻ると、粒がふやけてべちゃついた食感になり、鰻の皮目の香ばしさも失われてしまいます。
時間が経過しても美味しい状態でお客様にお渡しするためには、容器内部の湿度コントロールが重要です。
容器の通気口や蓋の形状による工夫
プラスチック製や発泡素材の容器を選ぶ際は、蒸気対策が施された機能性の高い製品を選ぶことが大切です。密閉性が高すぎる容器は、汁漏れを防ぐ一方で、蒸気の逃げ場をなくしてしまいます。そのため、メーカー各社から販売されている「蒸気抜き加工」のある容器が推奨されます。
具体的には、蓋の側面に微細な穴が開いているものや、蓋と本体の嵌合（かんごう）部分に蒸気を逃がすスリットが入っているタイプがあります。これらの容器は、保温性を保ちながら余分な湿気だけを外部へ排出する設計になっています。
また、蓋の形状も重要な要素です。平らな蓋よりも、中央が盛り上がったドーム型の蓋や、段差のある形状を選ぶと良いでしょう。ドーム型の蓋は、内部で発生した水滴が天井部分から直接食材に落ちるのを防ぎ、容器の縁へと流れるように誘導します。
BESTPACKでは各メーカーからケース単位でのお取り寄せも可能です。サイトに掲載されていないものでも、気になる容器があったらお問い合わせください。
吸水シートを活用して余分な水分を吸収させる
容器自体の機能に加え、吸水シートや調湿機能のあるシートを併用することで、さらに品質を高めることができます。特に、高級感を重視して漆器風のプラスチック容器を使用する場合、通気口がない製品も多くあります。そのようなケースでは、食材から出る水分を物理的にコントロールする対策が求められます。
一般的に行われるのは、ご飯の上に食品用の抗菌・調湿シートを乗せる方法です。このシートは、余分な蒸気を吸収すると同時に、細菌の繁殖を抑える効果も期待できます。ただし、うな重の場合はタレがシートに付着してしまう懸念があるため、シートの選定には注意が必要です。タレが染み込みすぎない加工がされたものや、蓋の裏側に装着して水滴をキャッチするタイプのシートを選ぶと良いでしょう。
テイクアウト時のトラブルを減らす容器の機能
うな重のテイクアウトやデリバリーにおいて、飲食店が最も避けたいのは、お客様の手元に届く前に商品が破損したり、中身がこぼれてしまったりするトラブルです。特にうな重は単価が高いメニューであるため、見た目の崩れやタレ漏れは重大なクレームに発展しかねません。また、土用の丑の日などの繁忙期には、梱包作業のスピードも求められます。こうした課題を解決するためには、容器の機能性に注目して選定することが大切です。
積み重ねても潰れない強度のある形状
うな重は、法事や会議弁当として大量注文が入るケースも珍しくありません。また、Uber Eatsや出前館などのデリバリーサービスを利用する場合、配達員はバッグの中に複数の商品を積み重ねて運ぶことがあります。このようなシーンでは、容器を重ねたときの安定性、いわゆる「スタッキング性」が求められます。
スタッキング機能がない容器を積み重ねると、移動中の振動で荷崩れを起こし、中身が片寄ってしまったり、最悪の場合は転倒してしまったりします。これを防ぐために、蓋の天面と本体の底面がカチッと噛み合い、積み重ねてもズレにくい形状に設計された容器を選ぶことが重要です。安定して積み重ねることができれば、大量の注文でも省スペースで保管でき、配達時の安全性も高まります。
まとめ
うな重のテイクアウト容器選びは、単に料理を入れる箱を決めるだけでなく、お店のこだわりや焼きたての美味しさを自宅まで届けるための重要な要素です。蒸気を適度に逃がしてご飯のべちゃつきを防ぐ機能や、タレ漏れを防止する高い密閉性は、お客様の満足度に直結します。
また、高級感を演出したい場合は木製や紙製の折箱、コストと機能性を重視するならプラスチックや発泡素材など、お店のブランドイメージや価格帯に合わせて最適な素材を選ぶ必要があります。電子レンジ対応の容器であれば、自宅でも熱々の状態で召し上がっていただけるため、喜ばれるポイントとなるでしょう。 容器の機能性やデザインにこだわることは、持ち帰り時のトラブルを減らすだけでなく、リピーターの獲得やお店のファンを増やすことにもつながります。ぜひ今回解説したポイントを参考に、自慢のうな重にふさわしい容器を選んでみてください。
BESTPACKでも、様々なタイプの容器をご用意しています。ぜひご利用ください。
